mimi5577のブログ

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終身雇用の終焉の始まり

日本は新卒で就職すると、だいたい定年まで働く人が多い。いわゆる「終身雇用」だ。こういった現象は大企業に多く、日本では労働者の流動性が著しく低い。日本の法律は正社員の解雇には大変厳しくなっている。一度正社員を雇うと、解雇できないしくみになっている。

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日本の終身雇用の在り方を、企業が疑問視し始めた。

トヨタ自動車豊田章男社長の終身雇用に関する発言が話題を呼んでいる。13日の日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。(2019.5.14:日経ビジネス

日本の終身雇用への厳しい法律は、派遣法には適用がなく、企業は正社員の雇用を減らし、派遣社員雇用へとシフトしてきた。しかし、減少したその正社員でさえ、グローバル社会では通用しなくなってきている。

日本企業の衰退は、お家芸と言われた家電はとっくにその座を奪われ、今、世界中で不足している半導体も、日本では競争力をなくしている。以前のブログでも言及しているが、日本はモノづくりをやめてしまったのだ。

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もう一つの懸念材料が、日本はものすごい勢いで「少子高齢化」に突入している。日本人の2人に1人が50歳以上だ。これはもうすぐ日本の労働人口が、確実に急降下することを示唆している。働く人数が少なくなるのに、今のままでの働き方だと経済が回らなくなる。日本の労働生産性は先進国の中で、ものすごく下のほうに位置している。

日本に関しては、人材と仕事のミスマッチが最大の問題だと指摘しています。ミスマッチの度合いは、10ポイント中の10です。ポイントが高ければ高いほど「問題がある」ことになるので、日本の場合は、問題がMaxということになります。つまり、各企業は必要なスキルを持った人材を確保できていない、ということです。

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ただし同じくポイント10のアメリカとの違いは、労働流動性です。日本の場合はポイントが6.7なのですが、アメリカの場合は4.7です。ポイントが高ければ高いほど、労働流動性がない、ということです。つまりアメリカの場合、必要なスキルを持った人材が足りないために「ミスマッチ」が起きているが、日本の場合は、労働流動性がないために「ミスマッチ」が起きているということがいえます。

以下のチャートを見るとわかりますが、労働流動性に関しては、日本はどちらかといえば、ドイツやフランスに近い国です。

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高度な技能を必要とする産業の報酬に関しては面白いことがわかります。日本の場合はポイント2.5です。つまり、高度な技能を必要とする産業でも、高い報酬を払わなくても人材を確保しやすい、ということです。これは労働流動性が低いために、長期雇用を前提とする代わりに、高度な技能を持った人を安く使い倒せる、ということと関係があるでしょう。

転職が頻繁で、技能ベースで人を雇うので、フリーランサーでも高い報酬を得ることができるイギリスは7.6、アメリカの場合9.9です。労働流動性が高いので、人材の獲得に市場の力が働くために、報酬が高額になりがちです。以前このコラムでもご紹介しましたが、ロンドンの場合、システムアーキテクトで年収2,000万円、エントリーレベルのプログラマの年収が800万円ということは珍しくありませんし、テック業界だと大手のネット企業で働けば、インターンでさえ月収60万円超を稼ぐことが可能です。ドイツの場合は、イギリスやアメリカほどフリーランサーを雇ったり転職する頻度が高くないのですが、高度技能を持った人材が不足しているので、報酬が高くなりがちです。(2021.10.19:WirlessWireNews)

多分、このデータを見るとわかるのだが、日本は能力があってもなくても、さほど賃金の差がないのである。労働において、おかしな「平等」が生まれている。「利益の分配」などを掲げている政治家がいるが、能力の差による賃金の不平等について問題視をしている人は少ない。本当の意味での「同一労働同一賃金」を考え、制度や評価を変えていかないといけない。この労働不平等は、今後の日本にとって、とても心配な懸念事項になるのではないかと思う。

コロナでリモートワークが日常になっている。今やどこで働いてもいい時代なのだ。これは優秀なエンジニアやプログラマーが日本に居ながら、世界各地へ流出してしまう事を示唆しているのではないかと思う。コロナ禍でのリモートワークで、人々は出社しなくても会社が回ることを体感したのだ。世界中でエンジニアやプログラマーは引く手あまた。労働条件がよく、日本で働けるのなら、海外企業への転職も考える人が続出するのも時間の問題。またしても日本から優秀な人材が流出してしまう。

日本型雇用の「終身雇用」「年功序列」の慣習は、今後見直さないと本当に日本は終わってしまう。終身雇用を否定しているのではなく、賃金体系や評価が、能力や実績に関係なく一律だったり、年齢で決められていたりする企業が多いのはおかしい。労働者は頑張っても評価が同じだと、労働意欲が低下し、結果的に労働生産性も低下する。あの日本を代表するトヨタでさえも警鐘を鳴らしている(トヨタだからかもしれないが・・・)。

日本はイノベーションを起こせなくなっただけではなく、今の状態を維持できない状態(どんどん悪化に転じる状態)に突入しているのだと、思ってしまうのは私だけだろうか・・・。

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